トップへ   マスターから ごあいさつ 

 20代から珈琲に興味を持ち何も分からずドリップを始めた。焙煎した豆をあちこちから購入していたが、旨く無い。
 焙煎したての豆なんて田舎ではなかなか手に入らなかった昔、今思えば選んで購入した豆は既に賞味期限切れ、胃に刺激が強く、毎日は飲めなかった苦い思いで。誰にでも何処でも珈琲豆が気軽に買える今、インターネットでも数え切れない程多くの店が見つかり、何処の店でもそこそこのレベルにはなっている。それでも、少しでも自分の好みに近いコーヒーが飲みたい、永遠のテーマ。
 近くに出来た自家焙煎の店、鮮度のある豆で作られた珈琲は旨かった、これで少し大人になれたかと感じつつも、お腹(胃袋)が弱いせいか体にはきつかった。偶に飲めば済む、いや偶にしか飲めない飲み物だった。他人が作った物に注文を付けるなら自分で作ればいいかと、独学でいきなり焙煎を始めてから数十年経過し今に至っている。
 情報としてはインターネットも無い時代、喫茶店に行くか本屋に行くかで、それ以外に自分自身考え行動するだけ、誰にも弟子入りせずに歩んできた、失敗の数では誰にも負けない自信がある程だが、これが原点かも知れない。
 
○豆の鮮度と楽しみ方

 豆の販売をしていてチョット心配な事、それはどんな味で飲まれているのかだ。いつでも好きな時に楽しめる様に豆を色々購入して置く、又は粉にして購入する。保存は一部で冷凍が良い冷蔵が良い等言われている。購入した豆を何日位で飲みきるのだろか?
 焙煎豆の鮮度はとっても大切な事なこと。新鮮な香りはたまらない、鮮度を少し誇張し表現すれば、肉や魚、野菜と同等に思って欲しい位だ。
 そして、良く聞かれるのが保存方法や期間、しかし本来コーヒーは保存するのでは無く飲むため一時的に手元に置くだけのハズ。
 焙煎後10日程度であればガラスビンの容器に入れ普通に置けば良いと思うし、決して食器戸棚の奥や冷蔵庫にしまい忘れないで欲しい。

○お腹に優しい自分のための珈琲から始まった。

 若い頃、珈琲を飲んだ後、胃が痛くなったり体に刺激が強すぎて、毎日は飲むことが出来なかった。
 自分に合った珈琲を探したがなかなか見つからず、自分で焙煎をするようになり、現在がありこれからもある。
 今では年のせいか珈琲に慣れた為か全く平気になりました・・・・と言いたいが、後で気分が悪くなる珈琲にも出くわす。

○当店の基本はペーパードリップによるストレート珈琲
 珈琲専門店と偉そうな文字があるが、これでは表示不足がある、専門だから全ての珈琲に対応出来る訳ではない。ほんの一部のペーパーフィルターを使ったドリップ珈琲しか無い(出来ない)店なのだ。しかも、ハウスブレンドとも言われる”むじかオリジナルブレンド”も未だに作れない。
 時折ブレンドが無い事に気の毒がってか、「なにか旨いブレンドを出しませんか」と言われるが、未だその域には達していない。
 ブレンドコーヒーは味の芸術、焙煎人の腕の見せ所であり、無限の個性的な味を創り出すことが可能で、やりがいはあるかも知れない。
  一方ではこれが味の芸術?と疑うブレンドコーヒーにも出会う、これって味の芸術だろうか?
いや単なるミックス(数種を混ぜただけ)ではと思うものもある。どうしてブレンドをするのか、これが未だに分からないのだ。
 その前にやることがありそれが出来ていない以上ブレンドを作れないのだ。ブレンドするためにはその元となる豆の個性を全て、いや使う最低限の豆を分からないと、と思う。もっと言えば豆選びに豆の個性を感じていないと選ぶことが出来ないのだ。
 昔から世界中の多くの生産国、沢山の農園でコーヒー豆が生産されているが、今までどれくらいの種類のコーヒー豆を体験する事が出来たのか。ほんの一部の豆を使った、焙煎した、飲んだに過ぎない。「ブレンドお願い」これももちろんありだが、今はお客さんと共に世界の多くの豆を味わって見たい。香味にさらなる関心をもって是非一緒にいかがですか!
 それでも私たちが体験出来るのは、世界中のほんの一部のコーヒーでしかないのでは。国や生産地そして農園、種類、精製方法等々それぞれ違いがあるが、一生懸命に生産された豆なら、それぞれの違い、生産者のこだわりを楽しんで見てはどうか?
 例えば自分が生産者のA農園で自信を持って送り出したとしよう、購入者がお宅(A農園)とB農園とC農園をブレンドしたら美味しかったですよ!・・・さてあなたならどう感じますか?
 ブレンドを否定しないが、今の私には技術的にも安定したこれを作るとなると、安定した生豆種類の確保と共に毎回の焙煎のブレを極少に納めることが必要になるが、今は未だこの域にはほど遠い。
 コーヒーを楽しむ方法は沢山あるが、豆で世界旅行をする楽しみ、そして生産者の努力をコーヒーを通して僅かでも知る、想像する。また、同じ生豆でも焙煎やドリップによって全く異なったコーヒーになる(なってしまう)。一つの種類で様々な表情を見せてくれる。こう思うと無限の世界、せっかくコーヒーに興味を持って頂いた皆様なら、時々はこうした世界の国々、地域、農園毎の味わいを楽しむのも如何ですか、お客さんと共に一人でも多くの人にもっとコーヒーを知る、楽しんで欲しい、そんな思いが大きい。
そんな店が”むじか”です。

◎蛇足

○新鮮な豆とオールドビーンズ感性を大切に
 新鮮な豆が良い、古いのはダメ?でしょうか・・・・新鮮な豆の良さ、オールドビーンズの味わいと優しさ
 新鮮な豆を中心にして、時には充分にエージングされた豆、先入観を捨て試して見てはいかがですか!
 楽しみはもっと有るハズです。

 こうあるべき、昔からこうしていた、本にこう書いてあるからなんとなくそうしている等々・・・こうした縛りや先入観を捨てて、ご自分の味覚を信じて色々試して見ませんか!
 コーヒーの多様性から無限に広がる楽しみ、きっと人生を豊かにしてくれると思います。